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MARGUERITE-マーガレット-

いらっさいませー。

今日は少し、暖かいんです。

春って、こういうふうに暖かいんだっけなあって、ちょっと待ち遠しい気持ちになりました。

地面の下の球根たちも、地表の温かみを感じ取ったことでしょう。

春が近いんだなって、目を覚ましかけてるのかもしれません。

植物たちは春までに、地面の下で準備しなくちゃならないことが沢山あるんですよね。

見えないところで頑張りやさんなんですね。

うふ。

(おーい。どしたー。今日はなんか変だぞー)ホカホカ眠いんだよ^ёωё^花粉症なんだよっ




***


  岩の足下には白い花が似合うといったのは、真木綿(まゆう)だった。

 わざわざ隣町の大きな園芸店まで出かけていって、一番大きな株を2つ選んだ。

真木綿は後部席で一鉢を横に置き、もう一つを抱えて座った。

「重いだろうから足下に下ろしたらどうだ」と私が言うと、

「ううん、こうして、抱いて居たいの」と

まるで赤子をあやすかのように、いとおしげに花を揺らした。

 ルームミラーに写る彼女は、白い花越しにまるで少女のようで、

あぁ、この女のこういうところにほれたのだなと思うと共に、

野の花を手折った時のような後ろめたさを感じた。

家に着き、仲良くひと鉢ずつかかえて、あの小さな裏木戸をくぐったときに、

ちらりと見えた、細く白いふくらはぎ――

 花を植えつける、そんなありふれた作業も、真木綿と一緒だと特別な事のようで、

私は初めての恋のときのように、

このまま時間の流れが止まればいいと願ったものだ。

真木綿と居る時には、私も少年に戻れるのだった。

正妻との暮らしには一度も感じたことのない、やさしい夢のような時間――



 真木綿よ、お前の入いるところからも、この庭が見えるかい。

あの年の秋に私が植えたコスモスは、土が合わなかったのか上手く育たなかった。

でもあの時のマーガレットは、今年も沢山の蕾をつけているよ。

岩の周りに根を広げた二つの株が互いに混ざり合って

大きなコロニーになり、

いくばくもない地面はもうすぐ葉の緑と花びらの白に埋め尽くされるだろう。

静かに固い蕾は、こうして見ている間にも膨張を続け、

額のすき間を抜けて生のエネルギーが光になって飛び出してきそうだ。

 この季節、縁側の日陰から眩しい庭を眺めていると、

時間の感覚を忘れてしまうことがある。

お前と過ごしたあの夏に、帰りたい。





「シンさん、新しいブラウス買ったの」

 水をまき終えたばかりの庭が、春の日差しにキラキラ輝いていた。

三年目のマーガレットは樹木化して、しっかりした花びらを太陽に向けていた。

 あの日、私の到来が一日遅れたことを責めもせず、

私の顔を見るなりそう言ったのだったね。

お前はいつもそうやって、数日前の続きを始めるのだ。

まるで時間を越えていきなりそこに現れたかのように、

この家の時間を狂わせて、夢の中へと私をいざなう。

まるで映画の続きを見るようで、私はお前の前で、浦島太郎だったのだ。

お前が一人の時間を一体どんな風に過ごしているのか、私には決して想像できなかった。

そういう不思議さがお前にはあった。

 歩み寄るお前を夢中で抱きしめ、石けんの残り香を吸い込むと、

もうあっちの家には帰りたくなくなってしまう。

「シンさん、踊りましょう」

手を握りあって、太陽の下でくるくると子供のように回った。

私が敷石につまずかなければ、あのままいつまでも回り続けていたかったくらいだった。


 お前が直る見込みのない病に冒さていることが分かったのは、

それから間もなくだった。私はとうとう子供を持てないまま、

正妻にも先立たれ、とうとう一人残されてしまったよ。

 今は楽しみといったら、この庭で夢の続きを見ることぐらいだ。

真木綿よ。

明るい表の面だけを見せるマーガレットは、お前に良く似ていたんだな。




 屈託のない笑い声が庭に響いた。かわいらしい声だ。

一体どんな子だろうと興味がわいて、縁側から立ち上がり

垣根の向こうを伺ってみたが、もう誰の姿もなかった。

「こんにちは」さっきの子の声がした。

振り返ると、五歳ぐらいの女の子が岩の上に腰かけて、

足をぶらぶらさせていた。

「おや、こんにちは」

 私はなぜか驚かなかった。「お嬢ちゃんかね、今笑ったのは」

少女が岩から落ちはしないかと気にしながら、ゆっくり近付いた。

「そう。あのね、お花とお話していたの」

「ほぉぅ、その白い花と?」

「うん、みててね」

 少女はひらりと飛び降り、ふわりと着地したように見えた。

真木綿に似ている――私は、夢をみているのだろうか。

だがこの庭なら、なにが起きても不思議はなかった。

「お嬢ちゃん、名前はなんていうのかね」

「れんか」

 真木綿のはずがない。当たり前だ。何を期待したというのか。

私は急に可笑しくなって声を立てて笑った。

「わたし、変な名前?」

「いや、とてもいい名前だ」


 そのとき、遠くでその名を呼ぶ声が聞こえてきた。

「あっ大変! 先生に見つかっちゃう!」

 少女が私の後ろに隠れた。

ズボンの裾をつかむ小さな手の感触が、なぜか鼻の奥をツンとさせた。

それはとても大事な、とても懐かしいことを思い出しかけた時のような、

胸の痛みに似ていた。

大声で名を呼ぶ人影が垣根のそばまで来たとき、私は理解した。

決めた、この子を養子に迎えよう、大切に育てよう。

 私は人影に向かって、声をかけた。

「もし、愛緑園の佐東さんじゃないかね」 

それは私が毎年寄付をしている、この近くの養護施設の職員だった。




 私は蓮花の手を引いて、施設の門を出た。

「おじちゃん。れんか、本当にあのおうちで暮らしていいの?」

「ああ。あそこはもう、お前さんの家だよ」

 今ごろ家では、雇いたての家政婦がご馳走を準備して待っている頃だ。


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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

ねじばな(後)

 アユカはカキ氷をひとすくい食べると、

「んー、生き返るー」

 彼女の声はよく響く。店内の人が振り向いたような気がした。

玲音は店で大声なんか出さなかった――。

「おい、声が大きい」

「あっゴメン、地声だから……」

「いや……いいんだ」

 俺のほうこそ、アユカに誤りたい気持ちだった。

アユカと付き合いだしてからずっと、俺は無意識に、

彼女と玲音と比べてしまうのだ。



 アユカは物事にこだわらない、はっきりした女性だ。

性格も見た目も、気取ったところが無いので、同性からも好かれている。

同じフロアで働きながら、 そんな彼女に自然と引かれたのだけれど、

玲音への想いを断ち切りたいという想いが

全く違うタイプのアユカに向かわせたのかもしれない。
 
 しかし、彼女の気さくな態度と明るさは、時として無神経に感じることがあり、

そんなとき俺は、玲音を思い出してしまうのだった。



「ちょっと行ってくるね」

 アユカが化粧室に立った。
 
彼女の後姿が視界から消えると同時に、アイリスの香りを感じた。

すぐに振り返ったが誰もいない。

それは玲音と同じ匂いだった。



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ねじばな(前)

「歩くの疲れたわ」

 不機嫌な声が、つばの広い帽子の影から流れてきた。

お前は歩くだけじゃないかと言いかけてやめた。

 視線を右に泳がせる。

空と海の青、白い砂浜、大勢の海水浴客が織り成すカラフルな色彩が、

強い太陽の光で白っぽくかすんでいる。 俺は額の汗を拭きもせず、

まるで蜃気楼のような景色を眺めながら、

単車のハンドルを押す腕に力を入れなおした。

「あ、待ってよ、もうっ」

 彼女の声がさらに尖った。


 目的地はこの小さな海水浴場を過ぎ、ずっと東に行ったところの岩場の多い海岸の地だった。

まだまだ遠いが、オーバーヒートしたバイクを修理するため、

先に見えるスタンドまで、押して歩いている。

汗で滑りそうな手の平を首にかけたタオルで拭いなおした。

体を風が吹き抜け、汗の塩分を濃くしていく。 



 少し先に小さな木造の建物があった。

大分色あせているが、あのオレンジ色の片流れ屋根には見覚えがある。

そうか、まだ残っていたのか――。

記憶の中のその店は、今でもくっきりとした陰影を帯びていた。



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LILY OF THE VALLAY -スズラン-

日差しはぬるくて

あなたを想う

胸にぽっと灯りがともる

あなたを想う

空気がふっと軽くなる

 

月夜にすかされ

あなたを想う

涙がこぼれ

ちいさな幸せに

そっとうつむく

 

足下には

恥らうように 咲いたすずらん

 

 

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テーマ : 詩・ことば
ジャンル : 小説・文学

SWEET PEA-スィートピー-

  

「またいつか――」

続くべき淡き言葉を

口に出そうともがく心 重たくて

つかんだ指に

そっと口づけた

匂い立つ君の優美

唇に刻む込むように――

 

光の粒子が軽々とぼくらを包み

届かぬ高みへと飛び散った

 

「いつかきっと――」

続くはずの固き言葉が

涙でふやけないように

艶めくその頬を

両手で包んだ

確かなぬくもり

この胸に沈めるように――

 

教会の鐘が鳴り出し

窓辺の花 いちりん揺れて

ぼくは立ち上がる君のうしろを

夢のように見ていた

 

振り返る花姿

スカートひるがえり

旅立つ君はスウィートピー

 

 

 

 

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テーマ : 詩・ことば
ジャンル : 小説・文学

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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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