「天使の花はしご」(61の続)

(前のお話61) (奇特な方へ第1話) (モクジ君)


「この辺りじゃ余所者が死のうが生きようが、関係ないんだから」
 マーリンは苦々しそうに言いました。
看護婦はその様子が気になりましたが、今は血清を手に入れることが先です。
「長靴とコート、お借りしますッ、危険だから部屋にいて下さいッ」
 壁にかけてあったコートを手早く羽織って外に出ると、
月明かりの下で体じゅうのホコリを払い落とそうとするかのように、
身震いしてから走り出しました。

 看護婦が向かったのは、走って十分ほどの医師の家。
医師は彼女の短い話ですぐに事の重大さを理解し、
眠い目をこすりながら血清の入った小ビンを
すぐに出してくれました。
「その人は男性だと言ったね。
もしかするとこれだけじゃ足りないかも知れないが、
効果が切れていないのはもうこれだけだ。
小柄な女性一人分と言ったところだろう」
 ビンの中身はほんのわずかしか残っていませんでした。
「あとは時間との勝負か、私も――あ、おい!」
 看護婦は部屋を飛び出し、月明かりの中を走って行きます。
その後を、やや小太りの影が追いかけていきました。

 一方、残されたマーリンは突然ベッドの上で二つ折りになり、
声を殺して泣き出しました。
その唇がある一つの名前を刻んでいました。
「ライナス、ライナス――」
 それは毒グモに刺されてなくなった、彼女の一人息子の名前だったのです。

 
(続く)
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「天使の花はしご」(61)

(前のお話60へ) (まさかの第1話) (モクジはこっち)

 
 看護婦が急いでマーリンの部屋に向かおうとしたとき、ちょうど
ジョアンナが廊下に出て来たところでした。
「ジャン(ジュリ)さんは大丈夫でしたの?」
 不安げに訪ねるジョアンナを部屋に押し戻しながら、
「すみません奥様、いいというまでこの部屋を決して出ないで下さい」
 と言って勢いよくドアを閉めてしまいました。
「ちょっと待って! 一体何があったんですの、ジャンさんがどうかなさったの?!」
「いいえ、あの方は熱が、そう、ちょっと風邪を引いていたようで、熱があるんです。
うつったら大変ですから、部屋からないで下さいね」
 看護婦は、毒グモのことを言ってジョアンナにショックを与えたくなかったので、
うそを言いました。
「まあ、かわいそうに……でもあなたがそう言うのでしたら仕方ない、
分かったわ、私はここにいます。どうかジャンさんのこと、お願いね」
「ええ、お任せ下さい」
 看護婦は平静を装っていても、返事を返すその顔は、引きつっていました。

 二人がそんな遣り取りをしているあいだのこと。
ジャン(ジュリ)の枕元から、小さな赤いものがツーと床に滑り落ちていったかと思うと
闇にまぎれて見えなくなりました。
 そう、毒グモです。クモはフィズの家の井戸のそばでジャンをさした後、
襟元から這い出し、シャツのポケットの中に隠れて潜んでいたのでした。
看護婦の恐れていたことが現実になっていたのです。

 看護婦はマーリンの部屋へ走って行きました。
マーリンは寝間着を掻き合わせ驚き顔で起き上がりました。
「奥様に何か?!」
「いいえ、いいえ奥様は大丈夫です、ジャンさんなんです。
マーリンさん、ここの家にはまだ血清が残っていますか」
 マーリンの表情がみるみる険しくなりました。
「え、なんですって、血清?! 血清と言ったんですか?!」
「ええ血清です、数ヶ月前ここにも配られたはず――」
「そんなもの!そんなものここにはないですよ!」
 突然のマーリンの怒りに、看護婦はたじろぎました。
「ここじゃ余所者のことなんて、誰も助けちゃくれませんよ」
「そんな……」

(61の続へ)

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【 raise 】育てる-5-

前のお話   

 植えつけた鉢を眺めながら、気が付くと時計は12時を周っていました。

芽を出すのは明け方になるとのことでしたから、まだまだ時間があります。

他にすることが亡くなった私は、

書斎と寝室をつなぐドアを開け放したまま、

鉢が見える位置でベッドの上に寝転びました。


 しかしすぐに、毛布を片手にベッドから降りました。

もしこのまま朝まで寝込んでしまったら、家政婦が朝食を運んできたとき、

開いたドアから書斎の中を見られてしまうじゃありませんか。

家政婦には、部屋の掃除のことだけでなく、

これから朝食は一階のダイニングで食べると伝えるべきだったのです。

実際は芽吹いたところを見られて困るようなことはないのですが、

あとあとのことを考えると、

やはりその存在を誰にも知られたくはないのでした。


 私は書斎に戻りドアにカギを掛けました。


私も伯爵のように秘密の地下室が欲しい……そんなことを考えながら

毛布を体に巻きつけて椅子に沈み込むと、

そのまま不自然な姿勢のまま眠りについたのでした。 

 
 朝、小鳥の声で目が覚めた私は、起き上がろうとして椅子からずり落ちそうになり、

一瞬自分に何が起こったのかわかりませんでした。

でもすぐに、つま先に当たった植木鉢の固い感触で、全てをはっきり思い出しました。

そのまま、いすから滑り落ちるようにして床に座り込んだ

私の目に飛び込んできたのは……

わずか1センチほどの鮮やかな黄緑色の新芽でした。

茶色い土を半分かぶったその初々しい姿に私は目を奪われました。

これが世にも珍しいドラセナの一種、「夢のしずく」か――。


 時計を見ると、そろそろ家政婦が朝食の支度をしに、

離れからやってくる時間です。

私は新芽のそばから離れ、寝間着のまま階段を下りていきました。

家政婦にはまた適当なウソを言って、

食事の時間は全て呼び鈴で知らせてもらうことにしました。




 夜は私と樹の、二人だけの時間です。

伯爵に言われた通りその夜から、寝る前に水をたっぷりとかけてやりました。

日中は何もせずにいいとのことでしたので、私の生活は今までどおり、

一見何の変化もないように周りのものたちには映ったことでしょう。

時には優しく声をかけたり、音楽を一緒に聞いたりしながら、

それはもう、まるでわが子のように可愛がりました。


 その後も伯爵の家への出入りは、それまでと変わらず続いていましたが、

お互いにそのことには触れず、まるで知らぬふりを通していました。

それも、あのときの誓約書に書かれていたことなのです。

【続く】

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第948回「暑いと寒い、どちらが耐えられる?」

こにゃニャちは!トラックバックテーマにお答えするオネコですのね。
「暑いと寒い、どちらが耐えられる?」ですかニャ。

そですね、寒いほう……。だいぶ動きが鈍るけどニャ。
着込めば、お出かけできるもん。
からからに乾いている冬のほうがいいかな。

夏の、暑いって言うか、あの湿気がもうダメです。
梅雨時の湿気もかなり苦手ね。
あとね、エアコンの中で冷えて、外に出るともの凄い暑さ。朦朧としますよね。

もう何年も前だけど、夏の暑さになれなくちゃと思って、
無理して車のエアコン止めて、窓開けて走ってみた事がアッたんですけどニャ。
しごとのお昼休みに、気分転換に近くのモールにお買い物。
屋上駐車場に上がる通路が狭かったのね。
ちこっと擦っちゃった……。
ばかみたい。いや、明らかにばかだった。

それ以来、無理は禁物がモットー。
エアコンのあるところでしか生息できない日本の夏ですニャね。

� ←この四角は、トラバの基本仕様なの?なんか勝手についてきたよ?
第948回「暑いと寒い、どちらが耐えられる?」

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アヴリルのアリスにゃ。

やほー。アリス in ワンダーランド。
映画ねー。観たいニャなー。
また1人で頑張ってこよか。うむ。

んで、
これはエンディングの曲。アヴリルがアリスになったら、これもいいよねー。
聴いってってくだされーっ。

* * *



* * *

チミも、映画、いかがですかニャ?
あふ?^・ω・^

いつ行くかはまだわかんニャイけど、適当に各自で行きましょう企画。なにそれ。

あ。そろそろゴオルデンで、世間では楽しいイベント盛りだくさんニャね。
え?仲良しさんと旅行ですかニャ。ふぅん。幸せそうでいいニャね。
……去年に引き続き、今年もえめるは一人。

あっやだ、ちがうのっ、寂しがってなんかいニャイもんっ……。
だって今年はひとりでがんばるオネコなのよ。
お話書かなきゃいけないんだもん。
お話考えながら、チョコ食べて、ケーキ食べて、ヨーグルト食べて。
パウンドケーキ焼いて食べて、プリン作って食べて。
ピザ焼いて食べて、パスタゆでてめんたいこソース絡めて食べて。
んで、ふとらニャイように、体操とマッサージして……

はぃ? 
ど、どこに墓穴ほったっていうの? 
えめる全然わかんニャイ^・▽・^……きゃーーーーーどすん。
(とーおい声で) ……た、たしけてー……

ってわけで、えめるはウサギさんを追いかければいいのニャね?
おいこら、まてー。

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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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