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「天使の花はしご」(29)

抹茶ケーキと紅茶、どうぞ。このケーキ、手作りをいただいたの。

ちょっとガッツリ系(笑)だけど、コクがあってとっても美味しいよ。

 

(前のお話28へ)

「あなたはどうしてここにいるの?」

 ランプは黙ったままです。

「あなたもつぐなっているの?」

 やはり何も言わないのを見て、天使は自分が可笑しくなりました。

(なんだ、声がしたと思ったのは、気のせいだったのね。

それに丸いものを見てすぐにタマシイと思ってしまうなんて。これはきっと、「天使病」だわ)

 ふふふっと笑うと、その息がランプに掛かって、ボッ……と炎が揺れました。

さっきの声は炎が燃えるときの音だったと思いなおすと、ランプをテーブルに戻し、

大きく伸びをしました。

 

 伸びをしたついでのように背中に力をいれてみました。

翼がゆっくり、それから段々早く羽ばたき、不意に体が浮かびあがり、

天使は幸せな気分で狭い部屋の中を三回輪をかいて飛びました。

「うーん。ハレイの泉のスープ、効いてるぅ~」

   

 元気が出ると、じっとしていられなくなるのは、天使も人間と同じです。

いつものようにドアをすり抜けようとして、あっと思いました。

目を凝らせば透けて見えるはずの側が見られないことに気付いたのです。

ここは地獄との境目。地上とは勝手が違うのです。

 天使は慎重にドアを押し開け、部屋の外へでました。

廊下はさらに薄暗く、壁には部屋にあったのと同じランプがところどころ掛けてありました。

遠くのほうから言い争うような声がきこえています。

くぐもっていて何を言っているか分かりませんが、

片方は老人の声で、もうひとりのほうは女性のようでした。

天使は声のするほうへ、進みました。 

 

 廊下の曲がり角まで来ると天使は床に降り立ち、壁からそっと覗き込みました。

足元が濡れて気持ちが悪いのは我慢です。

 

「お願い、アタシを消さないでッ! 認める、認めるよ!」

 その憐れで必死な叫び声は、ギアド老人が手にしているガラス玉からきこえました。

輝きを失ったタマシイを天使の目が見ることは出来ませんが、

その中には罪を認めたがらない頑固者のタマシイが入っているはずです。

ガラス玉には細長い紐のようなものがついていて、

それが老人の後ろにある、腰の高さほどの四角い箱につながり……

箱の上で動く小さくて黒いものを見つけた天使は、思わず叫び声をあげそうになり、

両手で口を押さえました。(あれが……悪魔!)

 

 悪魔のことは天使塾でもしっかり習っていましたが、本物を見るのはもちろん初めてです。

上半身が裸の皮膚は、遠目にも濡れて光っているのが分かり、

――なにで濡れているのかは考えないことにしました――

牛の汚れきった角のようなものが頭から突き出しているのが見えます。

本に載っていた挿絵より、何十倍も汚らわしい存在に思えました。

 天使はさっき飲んだものが口から飛び出しそうで、手をさらに強く押し当てました。

 

「では最後の一つ。マオという少年をたらしこんで親のほとんどの財産を盗ませ、

会社は倒産、ついには一家全員を自殺に追いやったことはどうじゃ、認めるか」

 老人の口調は冷静でしたが、声が震え、緊張しているのが分かりました。

「もういい加減にして……マオにはちゃんと分け前払ったし、

そもそも親を憎んでるアイツが言い出した計画なんだよ!

それに自殺したのはあいつらが弱かったからじゃないか……アタシは悪くない!

 タマシイが、子どものような声で訴えました。

さっきからずっと続いているシューという音がさらに大きく聞こえてきます。

「まだ分からぬのかッ、愚か者よッ、さっさと白状せねば永久追放の身となるぞッ!!」

「イヤだよ! アタシは絶対に悪くないんだッ!」

 声はさらに甲高くなり、蜂の唸りのブーンという音に似ていました。

「さあ早く! これが最後じゃ、認めるんじゃ! はやく!!」 

「アタシじゃ…………」

 ネズミが鳴いたような声がして、悪魔が喜びに身震いしたよう見えたのは、気のせいだったでしょうか。

急に静かになったかと思うと、あとは空気の漏れるシューシューという音だけが残りました。 

(消えた?!)

「うわああーッ!!」突然老人がわめきました。

「なぜ……ッ!! わしはまた認めさせることが出来なかったッ!!」

 

 圧縮装置はただの脅しだと思っていた天使は、

老人の嘆きを見て、その考えが間違いだったことを確信しました。

「じじい。さっさとよこしな」

 にやけたような声がして、ギアド老人が悪魔にガラス玉を手渡すと、

悪魔はそれに向かって何かまじないのような言葉を吐き掛けました。

するとそれは、オレンジ色の炎をたたえ始めました。

「これはなかなかいいぞ。グリモア様の部屋の明かりが一つ暗くなってたな。よしっ、早速交換だっ!」

 

 そうです。ランプはこうして作られていたのです。

 

(次のお話30へ)

本音トーク。書き始めると際限なく謎を作っちゃうのは、やめたいですー。

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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

>>チャンさーん

はいニャ。こんな秘密があったんですねー。
自分でも書きながらびっくらよ。
ランプのこと、ずっと気になっていたけど、何とかつじつまが合ったみたいです。

読みに来てくれる人が、ひとりでもいると、頑張れる。
ありがとう。

あのね、えめるの深層心理って、
とっても天邪鬼だから、
書くって言うとかけなくなったり、
お休みするって言うと続けたくなっちゃったり。

だからまた、音楽ばかり載せたり、雑談ばかりしていたら、
どうか一言コラ!しっかり書け!ってコメントくださいね(笑)

>>拳士さーん

 あいあーい。こちらこそ、ありがとなのねっ。

えめるね。ちょっと真面目にお話書いてるんだよ。
読みたくて読んでもらえるものって、
読者としての自分じゃよく分かってるのに、
それを作り出すってのは、
想像力たくさん必要なのね。
文章も、へたくそでチョコチョコ書き直してばかりで、
チョコが食べたくなりますニャ。

この冬は本たくさん読んで、お話書いて、それだけで過ぎちゃいそう。
でも、はじめてやりたいことに気が付いて、
やってみようと思ったのね。

また来年もよろしくねっ!

ランプの秘密聞きましたぞい
地獄に堕ちずにランプの炎となるとは…
地獄とランプ、どちらがいいのやら…(ΘoΘ;)…
天使が元気になると世界が拡がり新たな展開が出て来ましたね(。。;)
天使は、えめるさまの分身かもね〃(^∀^〃)¢

えめるさん、こんにちわぁ♪

大掃除は終わったですかぁ^^?
私は休憩ばっかの大掃除を終えました(笑)

ブログを始めて約1年…
今年はえめるさんともお知り合いになれ、
めっちゃ仲良くしてもらっちゃってありがとでした。
来年もどうかどうか、この拳士と仲良くしてやってくださいm(__)m
今年一年ほんまにありがとうございましたm(__)m
ではでは、良いお年を~♪♪
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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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