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「天使の花はしご」(33)

(前のお話32の続へ) (目次)

 ここは裁きの間と呼ばれ、洞窟をそのまま利用していました。

天井には大きな鍾乳石のツララがいくつも連なリ、

タマシイのランプの灯りが、広い洞窟のいたる所にあやしい影を作っています。

薄暗い足元をよく見れば幾すじもの小さな流れがあり、それをたどると洞窟の奥で

青白くきらめいている池に流れ込んでいるのが分かりました。

それこそがつぐない終えたタマシイが行き着く再生の場、ガラの泉でした。

さらに眼が慣れてくれば、壁際に黒い邪悪な姿の悪魔が数人、

影に同化するように佇んでいるのが見えてくるのでした。

 岩の一段高いところから、冷ややかで威厳に満ちた声が響きました。

「ただ今をもって、お前の罪は償われた。再生の道へ行け」

「ありがたきお言葉でございます。しかし私は、今のままで居とうございます」

「赦しは要らぬというか。理由を述べよ」

 しわがれた声が答えました。

「ここが好きだからでございます」

 グリモアが笑ったようにフッと息を吐きました。

「ギアド、嘘を申すでない。お前はあの仕事を憎んでおるはず」

「……はい、仰るとおりにございます」

「ならば今すぐにでも交代し、ガラの泉に行くがよい」

「それは……もはや出来ませぬ」

「どういうことだ?」 

「獲物はもはや、お役に立ちませぬ」

「なんだと?」 グリモアの眉間にかすかにしわがより、どこかで地鳴りのような音がしてきました。

「申し訳ございません。せっかくの獲物は先ほど私めの不注意で――」

 老人はグリモアの表情がさらに険しくなったことに気が付きましたが、一気に続けました。

「――ガラの泉のスープを多く飲みすぎてしまいました。人間になるのは時間の問題でございます」

 それを聞いたグリモアは、食いしばった歯の間から一音ずつ押し出すようにゆっくりと

老人の名を呼びました。それまで遠くで聞こえていた地鳴りの音が急に大きくなり、

先の尖ったキリのようなつららがいくつも天井を離れ、老人の周囲に落下しました。

「いい度胸だ」 グリモアの長い銀髪が風に煽られたように逆立ち、

今にも何かが爆発しそうな気配を漂わせています。 

「ではお前は二度までも私を無視し、新たな罪を背負うのだな」

「無視などと! 決してその様な気持ちではございませぬ!」

「黙れッ!!」 突然足元が揺れ、天井の大きなツララが老人の背後に、轟音とともに砕け散りました。

老人はその破片が全身に降り注ぐのをそのままにして立ちすくんでいます。

「ならば何だ! これでは百年前と同じではないか!」

もう一つ、さらに続けて一つ今度は老人の左右に落ちました。

「あの時も確か、うっかり人間に変えたのではなかったか」

 「事故でございました」

 臆すことないギアド老人の言葉に、グリモアが言い放ちました。

「ならば償いを言い渡す! タマシイ作り五百個!」

 その言葉に、ギアド老人は意味が分からないというように、きょとんとした顔になりました。

「グリモア様……申し訳ございません。耳が遠くなりましたようで……

今なんと、仰いましたのでしょうか」

 グリモアがその顔をさらににらみ付けるようにして言います。

「ランプ作りはもうよい、充分間に合っておる。今度はタマシイ再生の仕事を手伝え」

老人の顔がぱっと明るくなり、それからくしゃくしゃになりました。

「な……なんとありがたきお言葉! このギアド、もはやこれ以上の願いはございませぬ……ッ!

 その声は涙にむせび、ほとんど聞き取れませんでしたが、

グリモアには通じたのでしょう、黙って二度、うなずきました。

それから洞窟の奥に続く通路に向かって歩きながら、ぼそっとつぶやきました。

 「馬鹿者めがっ……」 その言葉には怒りの調子はなく、憐憫のような、

または戦いを共にする者に対する友情にも似た響きが含まれるのでした。

 

 その頃天使は、まだ気を失ったまま夢の中。

「フィズ……僕たち幸せに……」

時折り笑みを浮かべながら、ベッドに横たわっていました。

 

(次のお話34へ)

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テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

おへんじー

>>チャンさーん

ダイソン使ってるのー? うるさいー?
6分じゃ確かに時間足りませんニャね。
自分で掃除機かけてるんですかニャ。偉いニャねー。
あれ? 仕事場?
ダイソンは太く短く生きるのニャね。

ひとの人生も、細く長く。太く短く。ハイブリッド。
どれでもいいけど、メンテナンスは必要だし、
たまにはマイナーチェンジもしたほうがいいし、
場合によっては仕様変更大幅にしなきゃならないときもあるよね。

なんでも人生に例えるの、えめる得意ニャよ。
むっふぅ。

どうでもいいことしか得じゃない
かわいそうなオネコであることは、ナイショ。ああっ?

ダイソンの掃除機について 思いついたので

横から失礼します
ダイソンの掃除機ポータブルタイプを使っています
で、確かに吸引力は素晴らしい~♪
吸引力が電池寿命の最後まで変わらない~♪
これもほんと!!
でね、6分 数10秒で忽然と消える、
違った、止まるんですよ
掃除が佳境に入った頃にね(;~∧~;)ヾ、、、
どう思います・・・??
パワーがあるだけに、連続使用時間が短い(ポータブル型)のですね、、、f^_^;
蛇足で失礼しました

おへんじー

>>んぐたーん

あいあーい。話し言葉って、直にそのときの感情を現すわけだから、
難しいニャっていつも思ってるの。
語尾がちょっと違うだけでも、伝わるニュアンスが変わってきちゃう。

映像として、思い浮かべていただけたんでしょうかニャッ?!
うれしいにゃなー。
おしっ。

でもね。はふーっ。
脳みそもちっとだけ使いたいの。もちっとだけ。
あ?もちっとじゃ足りませんの? んじゃどっさーり。
もうねー。脳みそんなかに、ホコリとクモの巣がはびこっちゃってるから。
毎日頑張って使って、ちょっとずつ
お掃除していかなくちゃならないみたいなのね。
ダイソンの掃除機つかったらどかなー。
あ?脳みそまで吸われルゥ~~きゃーっ!

・・・・・・あ?^*▽*^・・・・・・

おへんじー

>>チャンさーん

いらっはーい。
あう? やだにゃー。
チャンサンのおかげで、このお話、盛り上がってるんだよっ。
感謝してるんだから。
えめるね、無理にひとに合わせるってこと、できないから。
したくないし。
自分のためにいいヒントになったから取り入れたんですよ。
えめるは頑固な我がまま猫だから、
自分で納得しないことはお話にかけないよ~。
^・ω・^安心してくだされッ!

グリモアとギアド老人の掛け合いがド迫力。
ちょこっと泣かせるカンジもグー!(◎∀◎)

SFファンタジーの映画でも観てるかのように、しっかりと伝わってくるよ。

天使は人間になっちゃうのかぁ。。続きを楽しみにしてるね~!

No title

随分イメージが変わってもう一つの物語りになってきた感じですね(●´∀`●)
内容はすっきりして見通しがよくなったですね
お疲れさま
でも、チャンがイランこと言って
余分なことさせたのかも・・・
ごめんねm(_ _)m

おへんじー

>>チャンさーん

そもそも、えめるが書き間違いだからニャ。
でもね。おかげでもっと面白くなりそうな予感ニャ。

本文もさっきちょこっと手直ししたから、
最初より少しは分かりやすく、よくなってる(はず)ニャ。

こやってね、みニャさんのご感想をいただけることで、
間違いや新しい発見が出来るのニャ。
自分で気が付かなかったことにも目が向くようになったり、
何よりも、たくさん救われるし。

本当にありがと。^;ω;^うれし涙ニャ。がんばる。

No title

 「タマシイつくり」じゃなくて「ランプつくり」のつもりだったんにゃーっ! 』
 ⇒あにゃ
チャンはそのまんま飲み込んでいましたよ (笑)
タマシイを込めたランプつくり
と読んどくれ
ワシも年を重ねて言葉も記憶も飛ぶのじゃて…フガフガ…

おへんじー

>>チャンさーん

はうっ!はうはうっ!
 「タマシイつくり」じゃなくて「ランプつくり」のつもりだったんにゃーっ!

どするどする??どーしよニャ^:::οωο;;;^

書き直すか、設定かえずにこのまま行くか。
んーんーんーんーんーんーんーンン。

仕方なかろう! なにが?
このままいくかー^;;;・▽・;;;^

だーってっだってだってだーーーーって!!!←やけくそになってます。

自分でも予想できないのが、えめるにとっての楽しいお話の重要な要素なんだもの。
チャンサンが面白いといってくれたなら、きっと他にもそう思ってくれる人はいるはずニャし!!

おしっ!        ^;ω;^がんばる。ありがとっ!



>>いき♂さーん

わほーい。えめるんテイスト出てるんですにゃかっ?!
えめるの脳内辞書には、根っからの悪人っていないのよ。
性善説信奉主義だからっ。バカなんでーす^ёωё^

ほんとはね。アクはとことん悪に仕立て上げたいし、そういうほうが分かりやすくて楽しめると思うんだけど、
ついついお人よし猫の心が、救いを求めたくなってしまう……。
あまあまの私なんですよ。にゃふぅ……。
悪が人間味あるって言うのより、人間味あるモノ凄い悪い奴っての、いつか書いてみたいですのニャー。
ありがとっ。

No title

威厳の中に優しさと哀しさが透けて見える。

……これがえめるんテイストなのだニャ(^^)

迫力あります 間違いない!?

降り注ぐツララとなー!!
タマシイ作り五百個となー!!
おったまげる[御魂]話ー!Σ( ̄ロ ̄lll) !
奇想天井外やあ\(^▽^@)ノ
面白かあーニャン~♪

殆んど弾けてごめんね(;~∧~;)ヾ、、、
sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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