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「天使の花はしご」(41)

(前のお話40へ) (モクジ君)

 『なにをそんなに驚いているの?』

 グリフォンがフフッと笑い、その鼻先から吐き出された空気の泡が天使の顔に

ぶつかってきました。ふと天国の花園が思い浮かび、懐かしさが込み上げます。

『あなた、本当は地上より天国に帰りたいんじゃなくて?』

 天使は心を見透かされていることに気付いてゾッとし、

グリモアに心を覗かれたときのように体中が縮んだような気がしました。

『でも、もう人間になっちゃったから、無理よね』

 再びグリフォンの鼻息が吐き出され、今度はフィズの悲しむ顔が見え、

それから二人の間に沈黙が流れました。

 グリフォンに考えが筒抜けなのはいい気分ではありませんでしたから、

天使は出来るだけ何も考えないようにと勤めました。

でも、考えないようにしようとすればするほど頭に浮かぶのは、股間に生えた鬼の角……。

 今さら天使に戻るのは不可能だと分かっていますが、

自分は人間になりきれていないに違いないと思いました。

(体の一部が鬼だなんて、こんなひどいことってないわ……)

 無垢な天使の心が嘆きました。

グリモアはあの時、泉のほとりで、このからだを見ても何も言わず、

隠すための腰布をよこしましたが、それがせめてもの慰みだとでも言うのでしょうか。

グリフォンにはもうばれているに違いありませんが、

彼女が何も言ってこないのもまた気になるのでした。

 

 そんなことを考えているうち間もなく、呼吸が苦しくなってきました。

(えっ、もう!?)

 泉に飛び込んでからまだそんなに経っていないはずなのに、

早くも羽根の効果が薄れているのです。人間の体がこんなにたくさんの空気を必要とするとは

予想もしませんでした。もはや神のご加護は、この体のどこにも届きはしないのでした。

 あまりにも早く訪れた羽根の交換で、二枚目の羽根を引き抜くのをためらっていると、

グリフォンが話しかけてきました。

『ねぇ。遠慮しないで、抜いていいのよ。グリモア様に言われたでしょう』

 天使はその言葉に甘えるように手を伸ばすと、銀色に輝く大きな羽根を一枚、

彼女の痛みが一瞬で済むようにと細心の注意を払いながら引き抜きました。

グリフォンの体が震えました。

 

 それからどれほど進んだでしょうか。

いつになっても地上の明かりが見えてこないので、天使は不安になり始めました。

  グリフォンがその気持ちを察したように言いました。

『ねえ。お聞きなさい。私はグリモア様の言いつけどおりに、

地上まであなたを連れて行ってあげるわ。

だからあなたはそれまでの間、私の言うとおりにしていればいいのよ』

(言うとおりにしていれば……)

『そう。私の言うとおりにね――』 

グリフォンがまた空気の泡を吐き出したあと、顔がこちらに振り向きました。

その顔を見て天使は呆気にとられ、口にくわえた羽根が勢い良く後ろに飛ばされていきました。

(フィズ!?)

 そう思ったのは一瞬でしたが、天使の心臓は早鐘のようになり始めました。

次の瞬間には、天馬の身体がいつの間にか美しい女性へと変わって、

女神のような顔が目の前にあるのでした。

 グリフォンは自ら背中に手を伸ばして羽根を引き抜き天使の口にくわえさせました。

『ああ、なんて美しい人間かしら。久し振りだわ……』

彼女の顔がさらに近付き、体が密着してきます。

(一体、なにを……!?) 天使は鬼の角が気になって仕方ありません。

『あなたは私に託されたの。地上に着くまで、私があなたをどう扱うかは、私の自由。

でも私は慈悲深いの。私がしたい事をするように、あなたがしたいと思うことを、

私にしていいのよ』

 グリフォンに息の泡を吹きかけられながらそう言われると、

天使もそんな気がしてくるのでした。

 

(次のお話42へ)

皆さんはこんなとき、なにがしたいんですか?

^ο‐ο^はふ……怖い女ニャなー

 

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テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

おへんじー

>>心温ちゃーん

わほぅっ! 読んでくれたのネッ!ラヴッ!
グリフォンは神様の御使いだから、どんな姿にだってなれちゃうのかもしれませんニャー。
知らんけど(笑)
あの泡には幻影を見せる効果があったりしてニャ?
細かい設定は自分で書いていてもよくわかりませんが、
とりあえず、天使の好みズバリかも……きゃふ。

そうニャよねー。怖いニャよねー。
えめるのへたくそな文章から、その怖さを読み取っていただけたなんて、チミはきっと天才ニャ!!

美しいけどものすごく恐ろしい、でもその魅力には逆らえないって言うのが出したいんだけど、
とてもとても無理でしたのね。はぁ~。また頑張るよっ。
ありがとっ!

No title

女の子のグリフォンって可愛いん?
(・ω・;)
迫ってくるお姉さんタイプ・・・怖い・・・

おへんじー

>>チャンさーん

答えにくいことをお答えいただき、感謝ニャっ!

なるなる。^・ω・^
んーとね。確かにそうなんでしょうけど。正直そうなんでしょうけどっ!
そういうのは人間として分かるのだけど、
敢えてそこを、理性で乗り越えて欲しいわけですニャ。
心と身体は別っていうのは、分かるけど、反応は仕方ないとしても、
それでもなお、その先に進まないことを選べる、
自分の肉体の欲求をも凌駕するくらい、つよい愛が欲しいわけです。
物語設定上。

ふぅぅ……。現実には難しい望みさー。分かっているのさー。
でもね。愛する人のことを思って、自制心で何とかならないのかなって。
ちょっとだけ期待してしまったのよね。
所詮えめるはロマンチストなオネコだもん。
あ。別に今までの人生で、浮気されたことがあるわけじゃないのよ。

ただ、考え方としてさー。
目には目を。歯には歯を。
そしたらえめるだって考えるわさっ!
と、熱意を燃やす対象もいないのに、急にむやみに気合が入ってしまい、
ふと現実に戻って非常に虚しいきもちの……オネコ。なんか泣ける。

えめるさま
又答え難い質問を…(;~∧~;)
まあ断るのではなくてね
身体が勝手に反応するというか…
据え膳食わぬは…
というか
下半身は理性と別というか…
その時のムードに流されるかも…だし
酔っばらった勢いもあるだろうし
あの…えめるさま
blogで何を言わせるのですか(//△//)
やっぱり
煩悩の塊ですね~(ΘoΘ;)…
あっ自分の話しかどうかは…ですよ-(笑)
男の特性、本能ということで(^^)/

おへんじー

いき♂さーん


はうはうーっ。そうニャよねっ、そうニャよねっ。
この試練を乗り越えてこそなのよねっ。

この罠を逃げ切るにはどうするかとか、
これが罠って、そもそも何の罠なのかとか、
どうやってそれを天使が気が付くのかとか……
はうあー。まったくどするよ?

No title

試練じゃ(^^)
神様は見ておられる。
そんな誘惑に負けるようじゃ、フィズのところには行けぬぞよw
ふふふ。

>>チャンさーん

あいあーい。
お話が、ちょっと難しいところに来ちゃったのねー。

あっそうだっ。チャンさんを人生の先輩と見込んで、1個質問させてニャ。
女性に強引にせまられたら他に好きな人がいても
断らないのが男性の礼儀なんですかー?
むーんむーんむーん。^・ω・^にゃ?

それでもえめるは、心に思う大切な人がいたら、
断るようなバカなひとが好きでスニャな。そしてうらまれるんだニャ。
だからそういうひとはきっと出世しないニャね……あう。

天使はきっと、徐々に心も変化して、
人間の男性としてフィズを意識しつつあると思うんですが、
何がなんだか分からないうちにこんな状況になってしまったわけです。
どうするよ??
……ッて、毎回言ってる気がするニャ。

どうぞ
私を好きにしてくださいませ
道案内が突然美しい女性になり、囁きかけてきたら…ワクワクいや大変ですね
ふわふわ不惑~(。。;)
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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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