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「天使の花はしご」(43)

(前のお話42へ) (モクジ君)

 天使はグリフォンの背中に腕をまわし、彼女の翼が手にあたるのを感じました。

羽根のふわりと優しい感触が、ほんの少し前まで

自分も翼で自由に飛べたことを思いださせ、深い喪失感におそわれました。

『泣いているの? そうよ、あなたはもう天国には戻れない。可哀相に』

 グリフォンは、同情の声色を出しながらも、

天使の打ちひしがれるみじめな姿を楽しんでるようでした。

『ねぇ、地上に行っても、ろくなことはないわよ。あなただって知っているでしょう、

人間達の愚かさを。あんなところにいたら、誰だって心が荒んでしまう』

 天使は思い出しました、天使のお仕事で集めたタマシイの中に、

強盗に刺されて死んだ老婦人がいたことを。

『それより何もかも忘れて、私と一緒にいたほうが楽しくてよ』

 グリフォンの甘い息がかかります。

無残な死に方をした憐れな老婦人の記憶がすうっと薄れ、

見知らぬ誰かの思い出のようにぼやけていきました。

視界一杯に微笑むグリフォンを見つめると、さっきまで気がつかなかったけれど、

フィズにとても似ています。

天使の中で、このまま一緒にいたいという気持ちが湧き上がってきて、

背中に回している手に力がこもりました。

『いいこね……』

 

 

 

 

 

 グリフォンが耳元に囁きかけると、天使はくすぐったいと同時に、

下腹に疼くような痛みを覚えました。

目の前に居るのが天馬の変身した姿であることをすっかり忘れ、

柔らかな肌に頬を当てその感触にうっとりしました。

 二度目のくちづけのとき、天使はグリフォンが腰に巻きつけた紐を

ほどこうとしているのに気が付き、とっさにからだを引きました。

腰布の下には誰にも見られたくないもの――鬼の角が生えているのです。

しかも最初より随分大きく成長しているようなのです。

 グリフォンがまたフフッと笑いました。甘い香りが拡がって、

こんどは脳裏に、抱き合う一組の男女が浮かび上がりました。

『それは鬼の角なんかじゃないのよ』 

(……ッ?!) 

 グリフォンが強引に腰ひもに手を伸ばしてきましたが、

硬い結び目はなかなかほどけそうになく、こんどは布を直接取ろうとしてきます。

執拗にせまるグリフォンの姿を見て、天使は恐ろしくなりました。

そしてその必死な形相を見たとき――フィズとは似ても似つかぬ顔でした――に

グリフォンはただ、いけにえが欲しいだけなんだと、やっと気がついたのです。

(それではグリモア様は、わたしを地上に返してくださる気はなかったの――)

 天使は、人間になってしまった天使を見つけた時のグリモアの様子を思い起こしていました。

 もみ合ううちにいつしか泡の効果が薄れてきたのか、

空気に包まれた空間に水が染み出してきましたが、二人は気がつきませんでした。

 

(次のお話44へ)

どどど……^ο‐ο^……

 

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テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

おへんじー

>>チャンさーん

天の御使いでも、自立した存在です。ッてことにしよう、うん。
託された以上は地上に行くまでは好き勝手できるのです。

天馬も、長く生きてると、飽きるから、ちょっとお遊びしたくなるのかな?
きっとね、グリフォンのねぐらには、屍骸が山になってるんだよ。
誘惑に負けた不届き者たちのね……。
恐ろしいの。

チャンさん。誘惑に負けたら、とって食われるんだよ。
お気をつけ下され~。うししっ。

おへんじー

>>いき♂さーん

はい。でもなんだか強引に気付かせちゃった感丸出しでーす。
いつまでもこのシーンを書くことに、疲れてしまったのです。
純情乙女のハートが。←うそだけど。

そうなの。「元天使」よねー。いつまでも天使って呼ぶのはなんか変なのよね。
でも本当の名前を出さなかったし、ジュリって呼んどきゃ良かったなって
今さらながらに反省してますが、思いつき物語なので
あちこちでとんでもないことになっているのです。
って、まったくもうねっ(苦笑)
他にもつじつまが合わないところがあるので、どうしようかなって思っています。
何所かで訂正しないとかな。すまぬ。読んでいただくのが心苦しい昨今。

誤字、早速訂正してきましたー。
いつもありがとっ^б▽б^

No title

ふうむ
天馬が悪魔のささやきと誘惑をするとは・・・
鬼の角も困ったでしょうにね
ほにほに・・・

No title

を。元天使くん、気付いた♪

> そしてその必死な形相を見たとき――フィズとは似て藻につかぬ顔でした――

似ても似つかぬ だぁね(^^)
sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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