スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「天使の花はしご」(52)

(前のお話51へ) (モクジ君)

「……あ、フィズただいま。遅くなっちゃってごめんね」

 その口調は、天使ジュリにそっくりです。フィズは急に立ち上がって数歩後ずさりました。

「あなた、だれ……?」

「あっ! そうだった!」

 若者はそう言いながら体を確かめるようにあちこち手で探って言いました。

「フィズ。わたし、人間のからだになっちゃった……」

(この人、ふざけているのかしら……?)

 フィズが返事をしないでいると、若者は心配そうに言いました。

「わたしが黙って井戸の底をさぐりに行ったこと、怒ってる?」

「何ですって!?」

 井戸の秘密は誰も――自分とジュリ以外、知らないはずです。

(そうだわ、ちょっと考えにくいことだけど、この人にもジュリの姿が見えたのかもしれない。

でも、この庭のどこかで、私とジュリの遣り取りを見ていたとでもいうの?

この庭は、外から入り込めない構造のはずなのに……)

 フィズは慎重に訪ねました。

「あなた、この庭で、なにをしていたの?」

「うん、ちゃんとお花にお水あげたわよ。それから井戸に飛び込んだの」

(確かに、花に水遣りを頼んだけど……ではこの人は本当にジュリなのかしら)

「わたし、しっかり見てきたわ。この井戸の秘密がわかったのっ」

「えっ?! 秘密って、まさか――」

(まさか本当に天国とつながっていたとでもいうの? ガルドのいる天国!

ああ、ガルドに会いたい!)

 フィズはまだ若者のいうことをすっかり信じたわけではありませんでしたが、

井戸の秘密と聞いて、心は自然と大きく弾むのでした。

「あのねあのねっ」

 フィズが大きく目を見開いて、若者を見ます。

「それがねっ、地獄につながっていたの」

 フィズは思わず小さく叫ぶと、両手で顔を覆いました。

「嘘つきッ!! あなたはジュリじゃないわ、出て行って!!」

 そういうと足早に、家の中に入ってしまいました。

「そんな、フィズう……」

 取り残されたジュリは、唖然としたまま立ち尽くすばかりでした。

 

(次のお話53へ)

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

おへんじにゃ。

>>んぐたーん

あいあい、いらっはーい。みんなお仕事忙しい時期ニャね。
お。まとめて読んでくれたの?
どもありがとーっ! まとめ読みにも耐えうるお話がかけていたらうれしいのですが……。なんてね。
いや、まだまだそこまでずうずうしくはないからダイジョブニャ。
もっともっと進化しないとダメなんですから……。

とにかく今は、書ききることが、第一の目標ですのニャ。
ありがとっ。頑張るニャーっ。^・ω・^

おへんじですよ。

>>チャンさーん

そうね。思いのある二人がちょっとした行き違いで永遠の別れに、なんて、悲劇だニャ。

でもさ。現実はそういうこともけっこうあるんじゃないかなー。
ロマンチックな理由じゃなくっても、売り言葉に買い言葉でとか。
ちょっとした言葉に過敏に反応しちゃう乙女心ってのを書いてみました。うししっ。

白虎隊? どんな話だっけ? あとで気が向いたらつーか、忘れなかったら検索しよっと。
いつもありがとっ。

またまとめ読みしちゃった。てへへ。(◎∀◎)

再会してからどうやって身体の変化を告げるんだろう…と思ってたら。
にゃるほろ、毒グモが絡んだかぁ。にゃるほろ~。

フィズの揺れ動く心が細やか。オトコではこうは書けんのう(・∀・)

続き、頑張ってね!

No title

嘘つきッ!! 
ありゃら、、、
やっぱり、話しはきちんと聞いてあげるべきですね
ふんふんとね
ロミオとジュリエットみたいになりますよ
まあ、会津の白虎隊も同じ様なものですが・・・
以後の展開が心配ですねえ(;~∧~;)ヾ


sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle話題分けてみたsidetitle
sidetitleつながりsidetitle
sidetitle素敵な生きものsidetitle

presented by 地球の名言
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleRSSってなに?sidetitle
sidetitleなにげにsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。