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【 rebirh 】生まれ変わる

 

 私は目を閉じた。

ノズル全開で飛び出す細いたくさんの筋が、勢いよく顔に体にぶつかってくる。

目を閉じていてもそのきらめきが見えるようだ。

私は暖かいスコールに打たれているんだと考える。

烈しい流れの中で、生命を癒すマイナスイオン。

 

ここの浴室は朝日がよく入る。

朝日と一緒に銀糸のシャワーを浴びることが好き。

生き甲斐と言ってもいいくらい好き。

だから私は季節に伴って、冬は朝寝坊、夏はやたらと早起きになるのだ。 

私は太陽と暮らしていた。

 

つまらない会話を避けるように黙って消えた男。

不遜な態度のくせに私の目を真っ直ぐに見られなくなった男。

その次に私が選んだのは、

毎日地球を照らすことに飽くことのない、

辛抱という言葉など不要な、大きな存在。

 

やがて私の心に小さな変化が生じた。

原始の不安を感じるようになったのだ。

太古、恐竜の咆哮に怯えたり、地面に影を落す怪鳥に恐れをなした時代。

人類は常に生命の危機を感じて生きていた。

曇った大地には、忍び寄る影が映らない。

雨の音が危険な足音を消し、足跡を消し、

世界は恐ろしい罠で満ちる。

 

朝からどんよりとした曇り空。

そんな日は外出も出来ず、

部屋でひざを抱えて独りで震えて過ごすようになった。

太陽の光が浴室に満ちるのを、

ただひたすらに願い請う。

 

ある日四日ぶりに顔を出した太陽は、

夕焼けの空と一緒にあっという間に消えた。

またある時の太陽は、分厚い雲が薄れたほんの短い一時間、

大きな笑顔の気配を感じさせるだけで帰ってしまった。

 

もっと私を暖めて!

光を当てて輝かせて!

お願いだから、独りにしないで!

 

気が付いたら、浴室に座り込んで泣いていた。

シャワーのコックを勢いよく押し上げると、冷たい水が出て私は悲鳴を上げて、

「バカッ!」と言った。

何日も着続けたパジャマが濡れて、

まるで濡れネズミのようだと思ったけれど、

濡れたネズミどころか、生きたネズミさえこの目で見たことがない。

そう思ったらちょっとだけ笑えた。

浴室の窓を開けてみた。

都会の空気に原始の森の匂いをかぎたくて…・・・。

でも曇った空からは灰色の煙った匂いしかしてこなかった。

 

あ。

姿を見せない飛行機の音。

雲の上には太陽があることに、今初めて気付いたように

私は息が粗くなった。

私は楽な姿勢になるように、窓枠に体重を預けてみた。

それは、ちょっとしたバランスの崩れといった感じで、

私の足が床から離れた。

  

地球とひとつになるんだと思った。

私は生まれ変わるの。

ほら、大地が近付く。

恐竜の吼える声が聞こえる。

火山が爆発するまえの、地鳴りのように、

それは私の中から聞こえる。

もうすぐ、あなたに会える――。

 

【終わり】

 

@@@

はううー。これ当然フィクション。お題であと11個あるのね。

書き始めたと気はもっと現実的な、希望溢れるもののはずだったのに、

なんで?

えめるの深層心理はこうやって、天邪鬼で予想と全く違うものを書かせるんだよね。

たしけてー。

次回は「ちょいす。」いつ書くかは謎。

天使のお話ちょっと疲れたので、気晴らしに変なの書きました。

んじゃねー。

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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

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おへんじ。そらまめちゃ~ん。

はうっはうっ。いらっしゃーいっ。

好きになってもらえる一言が書けて、よかったでーすっ。
書いているとき何となく軸になる言葉がそれでした。
って、書き終わってから気が付いたんです。てへ。

今度は軸になる単語ないしフレーズを最初から意識しながら書いてみる。
はい。そらまめちゃんのおかげで、
とってもいいことに気が付かせていただきました。
ありがとーーーっ。

おはようございます。

少し寝坊気味な太陽と共に・・・のつもりでしたが、本日はあいにくの曇り空。(笑)

『私は太陽と暮らしていた。』

私はこのフレーズがとても好きです。

チャンさんへおへんじー

日常と非日常は、常に隣り合わせに存在しているのです。
彼女の精神はその稜線上に立っていて、
ある時ついに、ふらりとしてしまった、って感じ。

精神が歪んで行くさままでは、
上手く書き込めませんでしたが……。
ほんとはね、それこそを書きたいなあ。
まともな精神がいつの間にか、
自分でもきづかないうちに狂気に落ちていくっていう様子をさー。
でもそれってとてもむずかしそうねー。

例えばね。一人称で書くわけ。
まともだと思ってる「私」。
狂い始めると、ズレが違和感としてある、
でもそれを自分以外に理由をつけて納得しているの、それが複線よね。
最後にどんでん返しで読者があっ!と驚きながらも、
完全に納得する。
そういうのって、形としてはありふれたものだろうけど、
題材を何にするかで、個性が出せると思う。
いつか書いてみたいのねー。内省的なクラ―イの。

こういう文章を書いたのは、今回が初めてなんです。
読んでいただきまして、ありがとうでーすっ!

ちょっとしたバランスの崩れといった感じ』
 ⇒ 日常の中での、
ちょっとした言葉の掛け違い
ボタンの掛け違い
時間がリバースしたような
微妙な行き違いってありますよね
バランスが崩れて、微妙なアンバランスの状態で、ふらふらと安定する
ヤジロベーみたいな感じ
えめるさまの文章を読みながら、そんな感じを受けましたよ


おへんじ。

>>心温ちゃーん

危ういハートの、変な感覚のお話でした。

狂気に触れた瞬間、人は不可抗力のように向こう側に足を踏み入れてしまうものなんです。
なんてね。
ああっ、それをテーマにするべきだったな。

んー。「自分はもしかして狂っている」と言う違和感をどういうふうに表現するか、いくつかありますねー。
いつかそういうショートを書きたいです。
ニャフ。

うーん、なんて壮大なお話・・・

でも気持ちを地球として感じるとこんな風だったりするのかな?

地球の中のちっぽけな一人。でも地球の中の一人。


ん?なに行ってるんだ自分(?ω?;)
sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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