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【山の宿】3

 老婆が気を利かせたのだろうと思った。

 暗闇の中で女の姿は見えない。

生暖かい肌の匂いが鼻をくすぐる。

擦り寄ってくる身体に手を伸ばすと、張りのある肌が吸い付いてきた。

俺は細身の体を抱き寄せ、女はため息を漏らし背中を反らせた。

 若々しい弾力のある身体は俺の腕の中で魚のように自由だった。

何も喋らず声も立てず、ただ息遣いだけが聞こえる部屋のなかで、

現実ともまぼろしともつかないひと時が過ぎ去っていった。

そして女は、来た時と同じように、静かに部屋を出て行った。




 翌朝は朝食を取らずに出ることにしていたので、

勘定を払おうと呼び鈴を鳴らすと、老婆が奥から出てきた。

昨日と違って若返って見えた。

昨夜の印象派は、夜の暗さのせいもあったのだろう。




「ここには他にも従業員がいらっしゃるんでしょう」

「いいえ、私だけでございます」

 とぼけているんだと思った。

だが、請求された金額は食事と宿泊意外何も入ってなかった。

では、昨夜の女は、自分から進んできたということか。

「ご家族と一緒ですか? 娘さんとか、お孫さん――」

「いいえ、私一人でございますよ」

 老婆の頬にばら色が浮かびあがり、

大きな疣が生き物のように蠢いた。




 世の中には年齢よりずっと若々しい声をもっていたり、

美しい手や脚をしていたりする人がたまにいるものだ。

だから、首から下だけ、若さを保ったままの人間がいても

おかしくはないのかも知れない。



【終わり】

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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

おへんじ。んぐたーん。

ゲルゲル紳士んぐたんも、こういう目に会う日がくるかもよー。
人里はなれた宿は、気をつけましょうねー。 このやろっ。(笑)

日本の妖怪ってさ、無気味だけどあんまり怖くないのも多いよね。
なんかユーモラスだったりするのもいるし。
一方で外国の魔女ってさ、恐ろしいよね。
ちょっとしたことで、とことんうらまれそう。

ここでは日本的な曖昧さの怪しい雰囲気を出したかったんだけど、
上手くかけなかったんです。
ずっと前に本で読んだのが元のお話なのね、これ。
雰囲気は、はっきり覚えているのに、
それを表現する方法が分かりませんでした。
さっきちょっとだけ最後書きたしてみました(コメントもらったあと?)
でもまだまだ全然足りませんでしたー。
今の表現の限界がこれってことかニャ。
おしっ。また頑張るニャ。

おへんじ。チャンさーん。

だはっ。老婆は体だけは若い。
人間なのか妖怪的なのか、
そんなあやふやな怪しさを出したかったんだけど、
その雰囲気はえめるにはまだうまく出来なかったの。
今回のラストは難しかったです。
さっきちょっとだけ書き加えてきました。
前よりもちっと感じが良くなったかも。

チャンサンも、色んなところでいろんなこと、
してますのかニャ? あ?
このやろっ。(笑)

ぬはー!(◎∀◎;)なんとショッキングな!w

まあ…男も楽しんだんだから、いいのかな…

い、いや、わからーん!(爆)

どへっ!(゜O゜)!
やっぱり妖婆だあ
でも弾けるような肌、吸い付くような肌はどこから…?
若い男の生き血を吸ってるのかも…
もしかして…朝を迎えたのも幻影かもね(゜ω゜!?)

えめるさま
新分野頑張っていますね
応援します(^O^)/
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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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