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「天使の花はしご」(61)

(前のお話60へ) (まさかの第1話) (モクジはこっち)

 
 看護婦が急いでマーリンの部屋に向かおうとしたとき、ちょうど
ジョアンナが廊下に出て来たところでした。
「ジャン(ジュリ)さんは大丈夫でしたの?」
 不安げに訪ねるジョアンナを部屋に押し戻しながら、
「すみません奥様、いいというまでこの部屋を決して出ないで下さい」
 と言って勢いよくドアを閉めてしまいました。
「ちょっと待って! 一体何があったんですの、ジャンさんがどうかなさったの?!」
「いいえ、あの方は熱が、そう、ちょっと風邪を引いていたようで、熱があるんです。
うつったら大変ですから、部屋からないで下さいね」
 看護婦は、毒グモのことを言ってジョアンナにショックを与えたくなかったので、
うそを言いました。
「まあ、かわいそうに……でもあなたがそう言うのでしたら仕方ない、
分かったわ、私はここにいます。どうかジャンさんのこと、お願いね」
「ええ、お任せ下さい」
 看護婦は平静を装っていても、返事を返すその顔は、引きつっていました。

 二人がそんな遣り取りをしているあいだのこと。
ジャン(ジュリ)の枕元から、小さな赤いものがツーと床に滑り落ちていったかと思うと
闇にまぎれて見えなくなりました。
 そう、毒グモです。クモはフィズの家の井戸のそばでジャンをさした後、
襟元から這い出し、シャツのポケットの中に隠れて潜んでいたのでした。
看護婦の恐れていたことが現実になっていたのです。

 看護婦はマーリンの部屋へ走って行きました。
マーリンは寝間着を掻き合わせ驚き顔で起き上がりました。
「奥様に何か?!」
「いいえ、いいえ奥様は大丈夫です、ジャンさんなんです。
マーリンさん、ここの家にはまだ血清が残っていますか」
 マーリンの表情がみるみる険しくなりました。
「え、なんですって、血清?! 血清と言ったんですか?!」
「ええ血清です、数ヶ月前ここにも配られたはず――」
「そんなもの!そんなものここにはないですよ!」
 突然のマーリンの怒りに、看護婦はたじろぎました。
「ここじゃ余所者のことなんて、誰も助けちゃくれませんよ」
「そんな……」

(61の続へ)
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ジャンル : 小説・文学

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えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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