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「箱庭」

青天のへきれき あなたが消えた

何もかも置いて 体だけ消えてしまったみたいに


夕べの飲みかけのコーヒーカップを 呆然と眺めているあたしは

途方にくれた迷子の子猫



誰かにききたくても あたし あなたの友達ひとりもしらないんだ

(あなたもあたしの友達を知らない)

バイクの後部座席に すわってみた 

そこが あたしの指定席


何も手につかず 途方にくれる 日曜日





「おまえさあ、何が楽しくて生きてんの」


初めてふたりで海に泳ぎにいった日

眩しげに海を見ながら あなた聞いたよね

あたしはなんて答えたんだっけ



覚えているのは 

何時ものあなたらしくない 投げやりな言葉に感じた 

不安





二人だけで手をつないでいるときに あたしはよくこう言ったの 

覚えている?


「トシと一緒にいると あーんしん」


私以外の誰もに見せない あなたの特別な笑顔を見てから 眠りにつくあたしは

確かに幸せだった





「ずーっと 一緒にいられたらいいな」

その時だけは あなた 唇の端をちょっと曲げて 笑ったね

何かが引っかかって忘れられない

あの微笑……





二人で歩いた並木道の緑も 今日はやけに 

白けて見えた

いっしょに笑い転げたお笑い芸人は  同じことの繰り返しで 

もう つまらない

ひとりじゃ なにも 楽しめない



手がかりの無いまま 五日が過ぎた

バイトもそうそう休めない



世界は一体 どうなっちゃったんだろう

あなたをおもうことだけで精一杯



あなた今ごろどうしているの

あたしがいなくて平気なの


あなたの服もメガネも歯ブラシも 目の端に やたらきついものを

投げかける




優しい色で作り上げたはずの あたしの箱庭には もう

砂しか見えない



それからというもの

テレビのニュースも新聞も 真剣に見るようになった

事件があるたび怖いもの見たさでね

そんなあたしを 誰か 叱って 誰か お願い



「今日のお天気は快晴です」

テレビの声にまたあの日の海を思い出す




「アヤ。海行くぞ! 水着はあっちで買えばいいだろう」

あなたが突然言い出して  バイクはしらせた国道沿いの風 は

日焼けした体に 今も吹いていますか



あたしの箱庭に 風は吹かない





そうだ。あたしの体を 風にしよう




あなたのバイクに乗れるようになったら

きっと 何かが分かる気が するんだ

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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

お返事。彼岸花さんへ。

いらっさいませ~。^・ω・^お。ネコ語、健在なり。うしし。

そうなのかー。追いかけるほうの負けなのですね~。
えめるはそういう恋の賭け引きはしたことが無いので、大変参考になりました。
(はたして役立つ日が来るのだろうか?イヤこない。
だっていつでもまじめに一途に一生懸命だから。んで、終わりにする←ヘンなの)


かみさまー。えめるはいつ幸せを自分でつかめるんですかー。
誰かに頼りたい気持ちがあったりしたら、幸せは遠のくんですかー。
そうだろな……ソンナ気がします。

えめるちゃ~ん!

お久しぶりニャニャな。
おお~。おネコ語、まだ使えるな。
何十日か分。年取ったから、感覚が鈍ったかと思ってたけど(笑)。

いいお話ですニャ。
恋はね~。追いかけ始めたらおしまいなのよ。
「愛してる?」「どうして?」って質問攻めにし始めたらお終いは近づいてるのよ。
だから、愛情を確かめるような質問はあまりしちゃダメニャのね。
でもしたくなるのね。

でもね。相手がそうし始めたら、こっちの気持ちは引き始めたとき。
うまくいかにゃいものね~。

恋って痛いわね。
あ。でも、これは対人関係におおよそいずれの場合もあてはまるのかなあ。

おじいちゃんおばあちゃんが、孫によく訊くのね。
「おじいちゃんと私と、どっちが好きかい?」って(笑)
小さな孫は困っちゃうのよね~。

折角の美しいラヴストーリーの雰囲気が壊れないよう、この辺で(笑)。

お返事。そらまめさんへ。

こちらからは読みに行くだけで、コッソリ怪しくってすみません。
こうしてきてくれて、下手な妄想話を読んでいただけて、
感謝の気持ちで一杯です。

文章の勉強って、私には分かりません。

小説家を目指す人向けのとか、正しい文章の書き方とか。
ノウハウ本はたくさんあるだろうけど、ソレを読んでどうかなるくらいなら、
世の中みーンな、物書きですよね。
読んだこと無いのでなんともいえないけど……基本的な作法は身につくのでしょう。

上手な文章が書けるのと、読みたくなる面白い文章とは
ある意味別物だと思っています。
本当は両方が揃って初めて作品といえるんだろうけど。
私には両方を考えて書くなんて無理です。
私は自分のが下手な文だと云うことは分かっているんです。
ただ、ハートで書いている。それだけなの。いまは、ソレしかできないの。
文章の勉強は、今する気になれない。(勉強がだいっ嫌いなんです)

でもね、読みたい本を、少しだけ時間をかけて読むようになったかな。

>あたしがいなくて平気なの

姿を消した彼に対して、そんな言葉が出る彼女。
その依存的な性格が現れているようで巧いなぁと思いました。
彼が自由を求めた・・・彼女の愛が重すぎて面倒になったのかな。
きっと相性の問題もあるよね。


短い文章でも彼と彼女の性格が解かりやすくて。
こういった文章は私も勉強すれば出来るのでしょうか。
参考書があるなら欲しいくらいです。(笑)

お返事。クメゼミ塾長さんへ

いらっさーい。
そうニャねー。切なさが伝わったなら、今回は成功ニャ。

この彼女は、箱庭のようなきれいな作り物で幸せを感じようとしたのかも。
一方の彼はもっと自由な広い世界で生きたかったのかも。
そんな食い違いに、彼女が気がつくのも、もうすぐ。
彼女はバイクの免許を取ろうとしているのよ。
彼の感じた風を、自分も感じてみればね。きっと。

あたしの箱庭に 風は吹かない
二人で歩いた並木道の涼やかな歩道も 今日はやけにくすんでみえる
⇒ なんと、切ない……(ノД`)゜・。・
悲しみは、時間も空気の流れも止めてしまうのですね。

澱んだ空気は、蘇えるのですか?
箱庭が好き? 箱庭の囚われ人??

この物語りはどのように未来を映していくのでしょうか…。
えめるさま。。。
sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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