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天使の花はしご(13)

えめるのお部屋へようこそ。

今日は雨ね。ちょっとだけ静かに……。

リン……  ロン    

リイン  ラロン……

ほら。ね? きれいな音でしょう。

水琴窟(すいきんくつ)っていうのよ。

庭に埋めた素焼きの《かめ》の、不思議な仕掛け

 幻想へといざなう自然のメロディー。

聞きながら、お話しましょうね。

                  (前のお話)(モクジ君)  

天使は途方にくれて、高い屋根の上に座り込んでいます。

頭上の雲を眩しそうに見あげ、

タマシイの状態があまりよくない事を悟りました。

このままでは天使もタマシイも、地獄に落ちるのは時間の問題。

「ああ、本当にどうしよう……。

どうしてこんな事になっちゃったんだろう……」

天使塾での大切な授業中に、ほかの事を考えていて、

肝心なところを聞き逃してしまったからなんですけどね。

天使は疲れた羽根をもう一度動かそうと、

立ち上がりました。

 

その時です。

石畳をけって走る、ひずめの音が聞こえてきました。

天使が音のするほうを振り向くと、

一台の馬車が猛スピードでやってきます。

「ハイヨーッ!」

それはあの、グレンドリン伯爵の御者の声でした。

車輪をきしませ、二頭の馬が互いに競うようにして駆けてきます。

でも、そんなに急いで

何処へ行くのでしょう。

天使は、その馬車のあとをふらふらとついて行きました。

なぜそうしたのかと聞かれても、

きっと天使にも答えられないでしょう。

ただなんとなく、そうしたかっただけなのです。

 

その馬車は、大通りをはずれて、砂利道に入っていきました。

その先にあるのは、町外れの寂しい家並みだけ。

 伯爵様がそんなところに、何の用があるというのでしょう。

 

その時、小さくなったしるしの雲は、

風に吹かれでもしたように、

周りからバラバラにほぐれだしていました。

今度はそれを見ても、なぜか天使はあせりもせず、

夢遊病者のように伯爵の馬車を、上空から追いかけていきます。

まるで何かに操られてでもいるかのように……。

馬車は間もなく、小さな一軒の家の前で止まりました。

 

馬車から降りてきた伯爵は、

花束を抱えていました。

それは昨日、フィズが泣き腫らした目を冷やしながら作った、

あの秘密の裏庭のユリに違いありませんでした。

その神々しいまでの輝きは丸一日以上たった今でも、

失われていません。

 「誰に届けに来たのかな……」

 

印の雲が消えかけているというのに、

そんなところに居て、大丈夫なんでしょうか、天使。

 

「ジョアンナッ!」

ドアを思いっきり開け放ち、

部屋に駆け込むグレンドリン伯爵。

その後ろから、天使もすうっと部屋に入りました。

 

「あっ! 伯爵様っ!」

それは忙しく動き回る若い女性の声でした。

その向こう側に、白衣を着た年配の男と、

ベッドに横たわり苦しむ女性の姿。

「間に合ってよかった、もう少しでお生まれになりますわ」

若いナースが、重そうなたらいを床に下ろしながら言いました。

大量のお湯が、日差しの差し込む部屋の中を、

さらに蒸し暑くしていました。

 

新しい命が今まさに、生を受けようとしているのです。

あら、天使の目的とは、ずいぶんかけ離れた現場じゃありませんか?

でも、天使は、大きなお腹をじっと見つめたまま、

動こうともしません。

天使、一体どうしちゃったの?!

 

(続く)

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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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Re: チャンさんへ

2リットル! 御見それいたしましたニャッ。
ひとを飲んだり食ったり、しているんですにゃね、チャンさんは。
了解ニャっ。
 
チャップリンですか? 私はカスタードプリンのほうが……?
確かに、人間って、いつでも【今】がいちばん重たいですにゃね。
時間がたてば、また重たいものも変わっていきます。
あ、これまじめニャよ。

時々人まで呑んだり食ったりしています。

ワタシャ 毎日2リットル 水 ノルマにして、飲んどります。
お蔭でトイレが大変です。 はい
時々人まで呑んだり食ったりしています。
性の悪い B型です。 はい  あっ、B型 といっても、私の場合ですよ。

◇チャップリンですか
人生は近くで見ると悲劇だが、
遠くから見れば喜劇である。
 ⇒ チャンにとっては
人生は近くで見れば、修羅場だが、
遠くから見れば寸劇である。

その時々は、ジタバタしているが、遠くで(後で回顧するに)見ると、結構他愛のないこと ってありますよね。
如何でしょう。

Re: クメール伝道師さんへ

>  ⇒ 仕事柄か、性格の欠陥か・・・たらい回しに 読めて いけません・・・すみません。

いいえ。それはきっと仕事のし過ぎニャよッ。
だからこの小さなニャンコのお手てで肩をもみもみもみ。
いつも、お忙しい中を、ねこのお部屋によってくれて、ほんとにありがとニャです。

体の7割が水分。朝起きたらコップ1杯の水を飲むといいそうです。
知っているけどやってなかった。
よしっ、明日の朝からやるニャッ!(大そうな決心)
さっそく汲み置きニャ。買わない。
チャンさんも飲んでますか?水。

はい ちゃんと 読みましたよ

◇重そうなたらいを床に下ろしながら言いました。
 ⇒ 仕事柄か、性格の欠陥か・・・たらい回しに 読めて いけません・・・すみません。

◇大量のお湯が、日差しの差し込む部屋の中を、さらに蒸し暑くしていました。
 ⇒ まさに蒸し風呂ですね。
でも、湿気があった方が、赤ちゃんにも、母体にもいいかも・・・人の源、70%は水ですからね。
あっこの話し、水に流す気はないですからね。
しっかり、読んでますよ。

おまけ
 先日のコメント、失礼しました。
寝ぼけながら、コメントしていました。
気持ちを、こめんと!!ですね。
今は寝ぼけていませんが、この文章がセンターリングされてる関係で膨らみ方が、塔になったり、雲になったり・・・見えます。はい

Re: クメール伝道師さんへ

えめるは一年中脳みそとろとろニャよっ。

チャンさん、何だか面白い見方をしていただいたようで、うれしいです。
私もやってみたニャ。
おおっ、確かにっ!
想像力を書きたてられる文章が書けているニャッ!!

……ってことでいいのかニャ……(一抹の疑問)
お仕事疲れデスかニャ?
んじゃ、ニャンコのお手てで肩もみもみ……
あっ、カギ爪が引っかかるニャ……。

今頭ボケボケ・・・

文章を離れて遠くから 上へ下へ 移動したら 文章が あらあら不思議・・・
生き物に・・・雲に・・・塔に・・・花瓶に変身しました。
今 頭ボケボケ・・・そう見えまかせんか?
記事の内容はまた あらためてね・・・ウニッ

Re: ペカリ さんへ

んじゃ、待っててねってことで。
あ、博士んところも小説ブログじゃなかったっけ?
博士の続きも楽しみにしていますニャ。

Re: いき♂ さんへ

今回はチョッと中途半端で終わっていますので。
ごめんにゃぁ。
次回をお待ちくださいませ。

No title

んじゃ、次回つうことで

No title

おやおや。
いろいろと想像をかきたてられるけど。
次回の楽しみにとっておくのニャw
sidetitleこういうものですsidetitle

えめる。

Author:えめる。
ネコの心のえめる。です。
同じ名前の人がいつの間にか
チラホラいるようなので
。を付けました

ねこ人間のプロトタイプ
品質最低で^・ω・^すまんね。
いちおう言っとくけど
永遠の22歳ニャからね。
ハートがっ。


ちなみに脳内は5才くらい
ほんとすまんね。

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